第5回セミナー講演会
「社会的養育におけるライフストーリーワーク」
立命館大学 准教授
講師 徳永 祥子 氏
『ライフストーリーワーク』ってなんだろう?
講師の徳永先生の記事をネットで見つけました。
「生い立ちを知ることは、自分らしい進路や人生を選択する上で極めて重要です。それができないと、経済的・社会的に困るだけでなく、自己肯定感が著しく低いまま大人になるなど心理的にも深刻な影響を及ぼすことが報告されています」と説明する。
「ライフストーリーワーク」は生い立ちなど「過去」を知ることに留まらない。「過去だけでなく、今なぜここにいるのか『現在』の状況を理解し、その上でこれからどうするのか『未来』を考えることが非常に重要です」と言う。それに加えて徳永は人生を通じて繰り返し続けることの重要性を説く。「諸外国では成人後も出生や生い立ちに関わる記録が保存され、当人はいくつになってもルーツを振り返ることができます。日本でもそうした記録保存の仕組みを整備していく必要があります」と徳永。「ライフストーリーワーク」の普及に向け、実践と問題提起を続けている。
帝塚山大学 才村眞理氏
子どもの日々の生活やさまざまな思いに光を当て、自分は自分であっていいということを確かめること、自分の生い立ちや家族との関係を整理し、過去-現在-未来をつなぎ、前向きに生きていけるよう支援する取組みが、ライフストーリーワークである。
『これまでの自分を知ること(過去)』
『現在の状況を理解すること(現在)』
といった生い立ちや家族関係の整理にとどまらず
『将来を考えること(未来)』までを繋いで、
『自分の人生を主体的に生きていく素地を作る』支援の取り組み
お話を伺うと、ライフストーリーワークはすべての子どもたちに必要なことで、昔子どもだった私たち大人にも必要なことでした。そして里親さんという立場だからこその大変さを知りました。
また、私自身ができないで来たことだったと思い出されました。
『母親でありたい』『家族でありたい』そんな思いを持ちながらも、なかなかありのままのその子を受けとめるには難しい葛藤の中、継子くんや実親さんの過去を認めることが難しい気持ちに悩まされました。我が家は継子くんのお母さんは死別です。私が結婚した当初は亡くなったお母さんとの思い出のホームビデオをしょっちゅう見ている姿がありました。私は複雑な気持ちでした。見ないでと言えるものでもなく、でもキツイ…。耐えかねたときから写真などは見えないところに保管してもらってしまいました。
それが良いとは思っていなかったのですが、気持ちはどうにもなりませんでした。
でもそのうち気持ちに変化が現れました。継子くんが進路を決めていく大切な時期に差し掛かり、どんな道に進みたいのか選択の時がきました。選択をするときのことを考えたら、自分のことを知っておくことの大切さを思ったことからでした。
自分ってなんだろう?…と存在自体があやふやな記憶になっていては、自分のことを理解できていないというより、自分に不安が残って居るために、選択に支障がでると感じたのです。(実は私自身がそうだったからでもあります。)
つい3年ほど前?…コロナが流行る前に、昔の写真を取り出して、ちょっとだけですが一緒に見せてもらいました。でも私は過去の話は何も知りません。なので、お父さんや親族のみなさんに聞くといいよと話したのでした。
そんな経緯もあり、今回のライフストーリーについて
すっごく遅かったのだろうけれど気づくことができて少し取り組めたことをよかったと思いました。
しかし、今まで閉ざしてきたものを一気に持ち出されてもびっくりさせたかも…とは思っていたとおりで、セミナーで言われた言葉が沁みました。
点滴のようにポツリポツリと伝えていくことが大切
そして
伝える伝えないではないということ
どう伝えるかが大事
びっくりさせないようにちょっとずつちょっとずつ とのことでした。
では里子さんだけ継子さんだけ気にかけたらいいのか?というと違います。
里親さんでもステップファミリー でも、どんなお子さんに対しても大事なことで
実は、私たち大人にとってもとても大切なこと。
ある参加者さんはこうおっしゃられていました。
子どもたちのため…と頑張ることで
自分を置き去りにしてしまう危険がある
なので親が幸せである
日々の暮らしを楽しめる余裕
生活を楽しめる仲間づくりが大切
そうはいっても現実は、行政からのサポートがあまり充実されていないようで、私たちステップファミリー と境遇が重なって見えました。
ステップファミリーにおいては、ひとり親ではないから支援が手薄になる傾向があるようですが、親がふたり居るだけでは丸く収まらない現実問題があることを行政には知ってもらうことと、サポート支援グループがあることを当事者の方には知ってもらいたい思い
養育においては、一人で頑張る子育てではなく、周りに助けを求めこともできるし、共感しあえる仲間がいるゆとりのある中、講師の先生がおっしゃったように『自分の人生を主体的に生きることができる素地を作る』という目的を一つにして、児童相談所と養護施設や里親さん、継親さん、実親さん、必要な場合には医療機関が連携をとっていけることを願いました。